小学生

「子どものプログラミングスクールやめとけ」は嘘!無駄にしないために気をつけること

2023年2月17日

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プログラミングスクール

こんにちは。エデュサポ(@edsuppor)です。

 

小学生の子どもにプログラミングを習わせようと思ったのですが、「子どものプログラミングスクールは無駄だからやめとけ。」という話を聞きました。本当でしょうか。

小学生にはプログラミングスクールは必要ありませんか?

 

ネットで検索をすると、「子どもにプログラミングスクールへ通わせてもお金の無駄だからやめたほうがいい」という意見が多く見られます。

そんな意見を聞くと、スクールに通わせるべきかどうか悩んでしまいますよね。

結論

小学生をプログラミングスクールに通わせることは無駄ではありません。

ただし、学校のテスト対策であれば無駄です。

大切なのは、プログラミング的思考力です。

 

今回は、「子どものプログラミングスクールやめとけ」は嘘であるというお話を解説します。

私は以前、塾講師の仕事をしていました。

集団塾と個別指導塾で講師と教室長を務め、オンライン教育系の塾運営の仕事をしていた時期もあります。

かれこれ20年以上、塾業界で働きました。

これまでの経験を基にお話します。

最後まで読んでいただき、お子様がプログラミングを習うことで本質的な学力をつけるための参考としていただければとてもうれしいです。

小学生がプログラミングを習うメリット

メリット

小学生がプログラミングを学習するメリットは大きく3つあります。

 

一つひとつ解説してきますが、まずは「プログラミング的思考力」というあまり聞き慣れない言葉について解説します。

プログラミング的思考力とは

プログラミング的思考力

プログラミング的思考力とは、課題を発見・解決していく過程で、コンピュータが自分の意図する活動を実現するために、どのような命令を組み合わせたらいいのかを論理的に考える力のことです。

文部科学省の資料には次のように記載されています。

自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力

引用:小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論の取りまとめ)教育課程部会 教育課程企画特別部会(第17回) 配付資料:文部科学省

 

キーワードは「プログラミング的思考」

キーワード

小学校のプログラミング教育は、プログラミング的思考を育むことを目的としています

決して、プログラムのコードを覚えることが目的ではありません。

このことは、先程引用した文部科学省の資料にも記載されています。

プログラミング教育とは、子供たちに、コンピュータに意図した処理を行うよう指示することができるということを体験させながら、将来どのような職業に就くとしても、時代を超えて普遍的に求められる力としての「プログラミング的思考」などを育むことであり、コーディングを覚えることが目的ではない。

引用:小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論の取りまとめ)教育課程部会 教育課程企画特別部会(第17回) 配付資料:文部科学省

つまり、小学生のプログラミング教育のキーワードは「プログラミング的思考」です。

決して、プログラムのコードそのものではありません。

メリット1 プログラミング的思考力が育つ

思考力

プログラミングスクールに通う一番のメリットは、プログラミング的思考力が育つということです。

プログラミングは、人に教わるだけでは身につきません。

実際に自分でプログラムを組んでみなければ身につきません。

スクールに通っていろいろなプログラムを実際に組んでみることで、プログラミング的思考力を育てることができるのです

 

直感的なツールで学習

プログラミングのコードは基本的には英語で書くので、小学生にいきなり本格的なコードを習得するのは難しいです。

そのため、学校でもプログラミングスクールでも、Scratchというカラフルで直感的なツールが使われています。

スクラッチ

出典:Scratch - Imagine, Program, Share

上の画像のように、左側に並んでいるブロックを選んで真ん中のスペースに組み合わせていくことで、右側のキャラクターを動かすプログラムを作ります。

難しい知識や操作は必要ありません

コードを覚える必要がないので、まさにプログラミング的思考力を育てるために最適なツールです。

メリット2 課題解決能力が育つ

課題解決 問題解決

小学校のプログラミング教育では、問題を解決する力を伸ばすことが大きな目的となっています

現代の社会では、自ら課題を設定し、問題の解決方法を自ら創造する人材が求められているからです。

具体的には、まずは身近な生活の中でコンピュータが活用されていることを学習します。

そのうえで、実際の問題解決にコンピュータを活用できるようにする知識・技能を身につけていきます。

先程引用した文部科学省資料には、次のように書かれています。

【知識・技能】

(小)身近な生活でコンピュータが活用されていることや、問題の解決には必要な手順があることに気付くこと。

(中)社会におけるコンピュータの役割や影響を理解するとともに、簡単なプログラムを作成できるようにすること。

(高)コンピュータの働きを科学的に理解するとともに、実際の問題解決にコンピュータを活用できるようにすること。

引用:小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論の取りまとめ)教育課程部会 教育課程企画特別部会(第17回) 配付資料:文部科学省

プログラミングをしっかりと学習することで、問題解決する手段を多く身につけていくことができます。

先程解説したプログラミング的思考力とかけ合わせれば、社会に出てからも必要とされる課題解決能力を育むことができます。

メリット3 他教科にも良い影響がある

良い影響

課題を設定し、問題を解決する力をつけるというコンセプトは、他の教科でも採用されています。

教育現場は、今までの知識偏重から、社会に出てからも通用する思考力・判断力を重視する方向に進んでいます

大学入学共通テスト(旧センター試験)や公立高校入試の問題を見てみても、思考力や判断力、問題解決力を問われる問題が増えています。

プログラミングを通して、プログラミング的思考や課題解決能力を育てることにより、他の教科にも良い影響を与えることができます。

「やめとけ」「無駄」と言われる理由

理由

ここまでの解説で、プログラミング学習に力を入れることが有益なことを理解していただけたと思います。

では、なぜ「小学生にプログラミングスクールはやめとけ」や、「小学生のプログラミングスクールは無駄」と言われるのでしょうか。

一番の理由は、「小学生にプログラミングスクールはやめとけ」と主張する人たちが、教育者ではないからです。

プログラミングスクールはやめとけと主張するのは、主に現役のプログラマーの方たちです。

彼らの主張はプログラムの仕事をするという点では正解ですが、プログラミング教育をするという点では不正解です。

彼らの主張は主に次の5つです。

 

一つひとつ解説します。

理由1 学校で習う内容は簡単

簡単

学校で習うプログラミングはものすごく基礎的な内容で、ほとんどの子どもはつまずくことなく習得することができます。

先ほど紹介したScratchというツールで、感覚的・直感的にプログラムを組むことができるからです。

つまり、学校で習うプログラミングのレベルであれば、スクールに通わずとも習得できるということです。

 

教科も評価もない

じつは、小学校には「プログラミング」という教科の授業はありません。

他の教科の学習の中に、プログラミング教育が組み込まれています。

たとえば、社会の授業の中で「自分たちが住んでいる地域の魅力を知ってもらう」という課題を設定し、それをITやプログラミングを利用して解決するといった形です。

教科もないので、テストなどでの評価もありません(発表やレポートが通知表などで評価されることはあります)。

 

大事なのは知識ではない

仕事で使うのであれば具体的なプログラミングのコードや言語についての知識が必要となります。

しかし、小学校で重視されるのはプログラミング的思考力です。

身近な問題でプログラミングがどのように利用されるかを知り、コンピュータにどのように指令を出せば実行できるのかを考える力を育てることです。

そのため、学校で習うプログラミングは簡単だから、スクールに通ってまで学習する必要はないという主張は的外れです。

理由2 自分で勉強できる

独学

Scratchのような、難しい知識が必要ない直感的なツールであれば、人に習わなくても独力で勉強することができます。

ただ、これには2つ問題点があります。

2つの問題

  • 小学生に独学は難しい
  • 成績が目的ではない

 

小学生に独学は難しい

まず1つ目は、小学生にイチから主体的に何かに取り組ませるのは難しいということです。

現役のプログラマーは、最新の技術や知識を身につけるために常に勉強をしています。

ですので、小学生が独力で勉強に取り組むことの難しさをあまり理解していません。

もちろん、プログラミングが楽しくて、主体的にどんどん勉強していく小学生もいます。

これは非常に望ましいことです。

主体的な勉強こそ、真の勉強だからです。

 

成績が目的ではない

2つ目は、先程解説した通り、学校のテストで良い点を取ることが目的ではないとういことです。

そもそも、プログラミングそのものがテストなどで評価されるわけではありません。

 

以上のことから、自分で勉強できるという主張も、多くの場合、小学生にはあてはまりません。

理由3 大人になってから勉強すれば良い

大人 勉強

学校で本格的なプログラミングを学ぶわけはないので、大人になってから学びはじめても遅くはありません。

しかし、これからはある程度プログラミングができる状態で大人になる子どもが増えていきます。

大人になってからゼロから学びはじめるのは難しいです。

ですが、たとえ「1」であったとしても知識があれば、ゼロからはじめるより何十倍もラクです。

現役のプログラマーは常に努力をして勉強している方が多いので、このあたりもあまり理解されていない方が多いです。

 

大学入試は結構本格的

難しい

共通テスト(旧センター試験)に新しく加わる「情報Ⅰ」の試験では、少し本格的なプログラミングが出題される予定です。

小学校で勉強しているプログラミングのレベルを想像していると、手も足も出ません

2022年11月に大学入試センターから公表された「情報Ⅰ」の試作問題では、次のような問題が出題されました。

問題が長いので、概要を先に書きます。

買い物の際に、客が支払う硬貨の枚数とお釣りとして受け取る硬貨の枚数の合計が、一番少なくなるようにするためのプログラムを組む問題です。

共通テスト情報Ⅰ プログラミング

共通テスト情報Ⅰ プログラミング

共通テスト情報Ⅰ プログラミング

共通テスト情報Ⅰ プログラミング

共通テスト情報Ⅰ プログラミング

共通テスト情報Ⅰ プログラミング

引用:令和7年度試験の問題作成の方向性,試作問題等 | 独立行政法人 大学入試センター

プログラムの組み方を数学的に考える問題や、実際に擬似プログラミング言語でコードを書く問題が出題されています

この問題を時間内に解くためには、実際にプログラムのコードを組む練習をしておく必要があります。

 

以上のことから、小学生のうちからプログラムを組む練習をすることが必要であることがわかっていただけると思います。

理由4 コーディングの言語は時代によって変わる

時代の変化

プログラム言語にはいくつも種類があり、時代によって使われる言語が変わっていきます。

そのため、今現在よく使われているプログラミング言語を小学生のときに勉強しても、大人になる頃には別のプログラミング言語が使われている可能性が非常に高いです。

 

コーディング知識が重要ではない

しかし、小学生のプログラミング教育で重要なのは、プログラムのコーディングそのものではありません。

プログラミング的思考力を育てることが大切なのです。

コーディングの言語は時代によって変わってしまうという主張は、現場で活躍されているプログラマーには当てはまりますが、プログラミング的思考力をつけていこうとする小学生にはあてはまりません。

理由5 費用がかかる

料金

プログラミングスクールの料金は結構高いです。

普通に塾に通うか、それ以上の料金がかかることが多いです。

ですが、料金分の価値はあります。

他の教科も大切ですし、芸術やスポーツの習い事も大事ですので、みんながみんなスクールに行くべきとは思いません。

優先度を考えて、プログラミングを習うべきかどうか判断すべきです。

ですが、「無駄」や「意味がない」ということはまったくありませんので、習い事の選択肢に入れて全く問題ありません

プログラミングスクールを選ぶときのポイント

ポイント

保護者
保護者
プログラミングを習うとしたら、どんなスクールに通わせればいいですか?

 

プログラミングスクールを選ぶ時に考えるポイントは、主に次の6点です。

スクールを選ぶときのポイント

  • 料金
  • 子どもが楽しめるか
  • 基礎だけで終わらないか
  • プログラミング以外も学べるか
  • 通学かオンラインか
  • 体験授業を受けられるか

 

詳しくは、「子どもにおすすめのプログラミングスクール7選!料金や特徴を比較」という記事で解説しています。

ぜひ、そちらも参考にしてください。

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まとめ

それでは、「子どものプログラミングスクールやめとけ」は嘘であるというお話をまとめます。

結論

小学生をプログラミングスクールに通わせることは無駄ではありません。

ただし、学校のテスト対策であれば無駄です。

大切なのは、プログラミング的思考力です。

 

子どものプログラミングスクールやめとけと言われる理由は、主に次の5点です。

「やめとけ」と言う理由

  • 学校で習う内容は簡単
  • 自分で勉強できる
  • 大人になってから勉強すれば良い
  • コーディングの言語は時代によって変わる
  • 費用がかかる

 

これらの主張は、仕事で実践的にプログラムを組んでいる人たちにはあてはまりますが、教育としてのプログラミングにはあてはまりません。

教育という意味での、小学生のプログラミング学習のメリットは主に次の3点です。

プログラミング学習のメリット

  • プログラミング的思考力が育つ
  • 課題解決能力が育つ
  • 他教科にも良い影響がある

 

社会に出てからも生涯にわたって活用できる、「プログラミング思考力」と「課題解決能力」を育てることが目的です。

今回の記事が、お子様がプログラミングを習うことで本質的な学力をつけるきっかけとなればとてもうれしいです。

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