こんにちは。エデュサポ(@edsuppor)です。
子どもに英検を受けさせるかどうか迷っています。英検は意味がないと聞いたのですが、本当でしょうか。
英検は大人になったら使えないと聞きました。でしたら、子どものうちからTOEICの対策をさせたほうが良いのではないでしょうか。
「英検は意味ない」という意見があります。
「意味がない」と聞いてしまうと、子どもに英検を受けさせるべきかどうか迷ってしまいますよね。
結論
英検は意味あります。
一つの側面だけを切り取って、「意味がない」と切り捨ててしまうのはもったいないです。
今回は、英検を受けても意味がないという意見について解説します。
記事の後半では、英検を意味があるものにするために必要なことについても解説します。
私は以前、塾講師の仕事をしていました。
集団塾と個別指導塾で講師と教室長を務め、オンライン教育系の塾運営の仕事をしていた時期もあります。
かれこれ20年以上、塾業界で働きました。
これまでの経験を基にお話します。
最後まで読んでいただき、英検を通してお子様が将来にわたって活用できる英語力をつけるための参考としていただければとてもうれしいです。
「英検は意味ない」と言われる理由
「英検は意味がない」と言われるのには理由があります。
そして、確かに英検には「意味がない」側面もあります。
「英検は意味がない」と言われる理由は、主に次の3つです。
「英検は意味がない」理由
一つひとつ解説します。
理由1 英検を持っていても英語がしゃべれるわけではない
英検2級や1級を持っていても、実際に英語を話す場面になると全然しゃべれないという人は多いです。
試験と実践は大きく異なるからです。
これが、「英検は意味ない」と言われる一番大きな理由です。
英検に限らず、TOEICやTOEFLなどの他の資格試験でも同じことが言えます。
英検の上位級を持っていたり、TOEICやTOEFLで高いスコアを取っていることが、すなわち実践的な英語が得意というわけはありません。
理由2 英検は大人になってからは重視されない
大学受験までは英検がとても重視されますが、大学生になった途端にTOEICのスコアが重視されるようになります。
TOEICで出題される問題は、ビジネスシーンを想定した実践的な英語だからです。
TOEICのスコアは就職活動でも大きなアピールポイントとなりますし、就職後も昇進や評価の基準にされる場合があります。
大人になればTOEICが重視されるのだから、最初からTOEICの対策をすれば良いというのが、「英検は意味ない」と言われる理由です。
理由3 海外では英検はマイナー
日本では超メジャーな英語資格の英検ですが、海外ではマイナーな資格です。
海外の教育機関では、TOEFLやIELTSなどの英語資格が用いられていることが多く、海外留学する場合はTOEFLやIELTSのスコアが求められることが多いです。
英検やTOEICは留学先の条件として用いることができないことが多く、結局TOEFLやIELTSなどを受け直す必要があります。
英検で留学できることもある
英検は留学でまったく使えないわけではありません。
近年では、CEFR(セファール)と呼ばれる外国語の習熟度を測る国際的な評価基準が活用されており、様々な資格試験をこのCEFRに当てはめることができるようになっています。
そういった背景もあり、海外の学校でも英検の資格を活用できる学校が増えてきています。
英検が意味ある理由
英検が意味ある理由は、主に次の4つです。
英検が意味ある理由
一つひとつ解説します。
理由1 英語力が上がる
当然のことのように聞こえるかもしれませんが、英検の勉強を通して基本的な英語力を向上させることができます。
英検では英語4技能をすべて試験するため、英検対策を通してバランスよく英語の学習に取り組むことができるからです。
英語4技能とは、「聞く」「話す」「読む」「書く」の4つの力のことです。
たとえば、学校の定期テストでは「読む」「書く」の技能が重視されます。
そのため、定期テストの対策ばかりに力を入れていると、「聞く」「話す」の技能をないがしろにしてしまいがちです。
最近では、入試や定期テストで「聞く」の技能も重視されるようになってきましたが、「話す」の技能はほぼまったく評価されません。
東京都が公立高校の入試で英語のスピーキング試験を導入しましたが、配点も小さく、重視されているとは言い難いです。
英検は4技能のバランスが大切
英検は筆記試験で「リーディング(読む)」「ライティング(書く)」「リスニング(聞く)」を試験されますが、合否は総合得点で決まるわけではありません。
各技能セクションでまんべんなく得点しなければ合格できません。
極端な話をすると、リーディングが満点であっても、ライティングが白紙であれば不合格になります。
それに加えて、2次試験ではスピーキングの試験があるので、4技能をバランスよく対策をする必要があります。
ですので、英検の対策を行うことで、英語の4技能をバランスよく伸ばすことができます。
理由2 英検は子どもの英語学習に最適
英検は子どもの英語学習に最適です。
英検には各級に推奨目安があり、問題や長文の題材がその学年に合ったものになっているからです。
英検の級 | 推奨目安 |
5級 | 中学初級程度 |
4級 | 中学中級程度 |
3級 | 中学卒業程度 |
準2級 | 高校中級程度 |
2級 | 高校卒業程度 |
準1級 | 大学中級程度 |
1級 | 大学上級程度 |
※参考
各級の目安 | 英検 | 公益財団法人 日本英語検定協会
英検の題材は日常的な場面や自然科学や身近な社会問題などが多く、学校で見聞きすることが多いテーマが題材になっています。
それに比べて、たとえばTOEICはビジネスシーンの題材が多く、子どもたちにとってはあまり馴染みのないテーマの話を読まなければならなくなります。
英検は級によって難易度が異なる
英検は級によって問題の難易度が異なることも、子どもの英語学習に最適な理由の一つです。
TOEICやTOEFLやIELTSには、級や合格・不合格といった考え方はありません。
TOEICやTOEFLやIELTSでは、全員が同じ試験を受け、その試験でスコアを何点取れるかを測ります。
つまり、英語初心者も、英語のエキスパートも、同じ試験問題を解くことになります。
英語の猛者ですら満点を取るのは至難の業であるような問題ですので、英語初心者には厳しい試験です。
理由3 英検は受験では圧倒的に有利
英検を持っていると受験では圧倒的に有利です。
学校によって異なりますが、英検を持っていることで加点される学校や、英検○級以上を持っていることで受験資格を得られる学校もあります。
受験での英検の利用パターン
- ○級以上を持っていると受験資格を得られる
- ○級を持っていると加点
- ○級を持っていれば英語の試験を免除
- ○級以上を持っていると英語の試験を満点とみなす
級は上であるほど良い
英検を受験で活用するのであれば、級は上であればあるほど良いです。
逆に、誰でも取っている級を持っていてもあまり意味がありません。
たとえば、高校入試であれば5級や4級を持っていてもあまり意味がありません。
最低でも3級は必要です。
準2級以上を持っているとかなり有利です。
中学卒業時点で準2級以上を持っている生徒は少ないからです。
▼この表は横にスクロールできます。
受験 | 最低でも 取っておきたい級 |
取っておくと とても有利な級 |
中学受験 | 4級 | 3級以上 |
高校受験 | 3級 | 準2級以上 |
大学受験 | 2級 | 準1級以上 |
高校受験は特に有利
高校受験においては英検は特に重要で、3級以上は必ず取っておきたいです。
特に、私立高校の併願優遇制度がある都道府県では絶対に3級以上を取っておいてください。
3級以上を取っているかどうかで、受験の戦略を大きく左右する可能性があります。
英検が高校受験に超絶有利な3つの理由
- 推薦入試に有利
- 一般入試の受験戦略的に有利
- 定期テスト勉強に有利
- 受験勉強に有利
>>英検が高校受験に超絶有利な3つの理由!中学生は英検を絶対に受けるべき
理由4 英検は就職や転職でも有利
大学生以降はTOEICのスコアが重視されると先程解説しましたが、英検がまったく無視されるわけではありません。
社会人になっても、英検準1級以上を持っていると一定の評価を受けられます。
私は英検準1級を持っているのですが、転職活動のときには英語力の評価基準として活躍しました。
「準1級を持っているようであれば英語力は問題ありません。」と言われたり、「準1級ではうちの職場では厳しいです。」と言われたり、日本で働くのであれば英検という資格はとても便利です。
頑張って1級まで取れば、活用の幅も広がります。
英検を本当に意味あるものにするために必要なこと
メリットの多い英検ではありますが、気をつけなければ「意味ない」資格となってしまいます。
実際に、「英検は意味ない」という意見にも一理あるからです。
ですので、ここからは英検を「意味ある」ものにするために必要なことについて解説していきます。
ポイントは次の5点です。
英検を意味あるものにするためのポイント
一つひとつ解説します。
ポイント1 「受かるため」の勉強に力を入れすぎない
合格するための「受験テクニック」は必要なものですが、受験テクニックに力を入れすぎてはいけません。
受験テクニックにばかり力を入れてしまうと、本質的な英語力を伸ばすことができず、英語を話す場面になっても結局全然しゃべれなくなってしまうからです。
英検に限らずとの試験でも同じなのですが、試験には「傾向」と「対策」があります。
出題傾向を研究して対策を行えば、ある程度実力以上に得点することができてしまいます。
その結果、英検2級や1級を持っているのにもかかわらず、必要な場面では全然英語を話せないという人ができあがってしまいます。
普段の勉強の先に英検がある
英語の勉強は、普段から基礎基本をしっかりと積み上げることが大切です。
そうして基礎力が積み上がってきたら、最後の仕上げとして「英検に受かるための勉強」をしましょう。
まずは普段の勉強で英語力をつけたうえで、確実に合格するためにテクニックを磨いていくのが良いでしょう。
ポイント2 英語学習を継続する
英語学習は、継続することが非常に大事です。
英語は言葉ですので、使い続けなければ忘れてしまうからです。
試験当日のために目一杯頭に詰め込んで、試験が終わったら全部忘れてしまう子どもは多いのですが、それでは何のために勉強したのかわかりません。
試験が終わったあともコツコツと普段の勉強を継続することで、英検を本当に意味のあるものにすることができます。
ポイント3 他の資格にも挑戦する
英検だけに限らず、他の英語資格試験にも積極的に挑戦すべきです。
英検を受けたら他の試験を受けてはいけないわけではありません。
そもそも、英語の基礎力をコツコツと積み上げることができていれば、どの試験でもしっかりと結果を出せます。
「傾向」と「対策」は大切
英語力をしっかりと積み上げていけばどの試験でも合格できる力をつけることはできますが、「傾向」と「対策」は怠ってはいけません。
「英語の基礎力」と「受験テクニック」をかけ合わせることで最高の結果を得ることができるからです。
受験する試験の過去問(または予想問題)は必ず解いて、特に力を入れて対策すべき分野を決めたり、時間配分などの作戦を練ったりしてください。
目的によって何を受けるか決める
はじめは英検合格を目指して英語学習を頑張り、それから自分の目的に応じて別の試験を受けていくと良いでしょう。
目的によって、必要な英語資格が異なるからです。
たとえば、留学をしたいのであればTOEFLやIELTSのスコアが必要になることが多いです。
また、大学入試では、学校によってはGTECやTEAPのスコアが必要になることがあります。
「何をしたいか」を決めたら、「そこではどの英語資格が必要になるのか」を調べてみると良いでしょう。
ポイント4 英語を楽しむ
英語を勉強していると大変なことも多いのですが、英語を楽しみながら勉強することはとても大切です。
「英語つらい・・・。」と思いながら勉強を続けてしまうと、大人になってから英語を勉強しなくなってしまいますし、積極的に英語を使おうとも思えなくなってしまいます。
大人になってから使わないのであれば、それこそ英検が意味のないものになってしまいます。
英語は言語である
英語を勉強している子どもたちの中には、英語を「勉強」として認識してしまっていて、「言葉」とは思えていない子どもも多いです。
学校英語では、英語を使って誰かとコミュニケーションを取る機会が極端に少ないからです。
実際に英語を使って誰かとお話する機会を作ることは、とても大切です。
英語を話すなら
英語を実際に話すのであれば、英語を話す友人を作るのが一番良いです。
ですが、普段日本で生活している子どもたちが、英語話者の友人を作るのは難しいです。
とはいえ、今は昔と比べれば英語を話す機会を作りやすいです。
ちょっとの工夫とちょっとの積極性で、英語を話す機会を作ることができる時代です。
インターネットを活用すれば、実際に海外に住む人とリアルタイムで話すこともできてしまう時代です。
英語を話す機会を作るには
- 学校のALTの先生と話す
- SNSなどで海外に住む人達と交流する
- 英会話スクールに通う
ポイント5 バランスよく勉強する
英語学習は、4技能をバランスよく学習することが大切です。
英語4技能とは、「聞く」「話す」「読む」「書く」の4つの力のことです。
英検では4技能全てのバランスが重視されますが、普段の勉強では4技能のバランスが崩れてしまっていることが多いです。
特に中学生や高校生は、普段の勉強では「読む」「書く」の2つの勉強ばかりに取り組んでしまい、「聞く」「話す」の2つの勉強をおろそかにしてしまいがちです。
逆に、小学生は「聞く」「話す」の2つの勉強に取り組む時間が長く、「読む」「書く」の2つの技能が軽視されてしまいがちです。
教材や塾や英会話スクールを活用してバランスよく取り組むことができると、大人になっても使える実践的な英語力を育てることができます。
インプット学習とアウトプット学習のバランスも大事
どの教科の勉強であっても、インプット学習とアウトプット学習のバランスが大切です。
「読む」「聞く」で知識を頭の中に入れ、「書く」「話す」で頭の中にある知識を使って外に発信することが大切です。
小学校の英語の授業はアウトプット学習が多いので、学校の授業とは別にインプット学習を行うと良いです。
逆に、中学校の英語の授業はインプット学習が多いので、学校の授業とは別にアウトプット学習を行うと良いです。
中学生や高校生は英会話スクールがおすすめ
中学や高校の英語学習は、インプット学習に偏ってしまっています。
また、「読む」「書く」の学習量が多く、「聞く」「話す」の学習が不足してしまいます。
英会話スクールであれば、不足しがちな「聞く」「話す」「アウトプット学習」をまとめて対策することができます。
最近は、オンラインで手軽にお安く英会話に触れることができるので、検討してみることをおすすめします。
>>子どもの英会話は意味ない?無駄にしないためのコツと英会話教室のメリット
>>中学生からの英会話教室は英語の成績アップに効果的!通うメリットと教室選びのポイント!
>>高校生の英会話は効果が大きい!メリット・デメリットと英会話教室選びのポイント
まとめ
それでは、英検を受けても意味がないという意見についての解説をまとめます。
結論
英検は意味あります。
一つの側面だけを切り取って、「意味がない」と切り捨ててしまうのはもったいないです。
英検は意味がないという意見も一理あります。
「英検は意味がない」と言われる理由は、主に次の3つです。
「英検は意味がない」理由
- 英検を持っていても英語がしゃべれるわけではない
- 英検は大人になってからは重視されない
- 海外では英検はマイナー
英検にはメリットが多いので、迷わずに受けることをおすすめします。
英検が意味ある理由は、主に次の4つです。
英検が意味ある理由
- 英語力が上がる
- 英検は子どもの英語学習に最適
- 英検は受験では圧倒的に有利
- 英検は就職や転職でも有利
英検のメリットを活かし、英検を「意味ある」ものにするためのポイントは、主に次の5点です。
英検を意味あるものにするためのポイント
- 「受かるため」の勉強に力を入れすぎない
- 英語学習を継続する
- 他の資格にも挑戦する
- 英語を楽しむ
- バランスよく勉強する
今回の記事が、お子様が英検を通して確かな英語力を育み、大人になっても活用できる確かな力とするきっかけとなればとてもうれしいです。
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