こんにちは。エデュサポ(@edsuppor)です。
英検は高校受験では有利でしたが、大学受験でも同じでしょうか。
うちの子は高校生なのですが、英検を持っていません。大学受験で不利にならないでしょうか。
中学生の時にはなんとなく受験していた英検ですが、高校生になっても続けて受験させるべきなのか迷われている保護者の方は多いです。
大学入試でも英検は使えるのか、疑問に思われているかもしれません。
結論
大学受験では、英検は高校受験のときほど超有利ではありません。
それでも、英検は大学受験でも有利になることは多いのできっちり取っておくべきです。
今回は、大学受験における英検について解説します。
私は以前、塾講師の仕事をしていました。
集団塾と個別指導塾で講師と教室長を務め、オンライン教育系の塾運営の仕事をしていた時期もあります。
かれこれ20年以上、塾業界で働きました。
これまでの経験を基にお話します。
最後まで読んでいただき、お子様が英検を利用して大学受験を有利に戦うための参考としていただければとてもうれしいです。
大学入試での英検の利用方法
英検には「級の合否」の他に、「CSEスコア」と呼ばれるスコアがつけられます。
大学入試ではどちらも利用されていて、「○級以上」のように級の合否が求められたり、「CSEスコア○以上」のようにスコアが求められたりします。
大学入試では、英検は主に次の4つの方法で利用されています。
一つひとつ解説します。
利用1 出願資格
英検の取得やスコアを義務付けている大学や試験方式があります。
英検が出願資格となっている場合は、英検を持っていなければ出願することすらできません。
英検が出願資格となっているパターンは、総合型選抜(旧AO入試)や学校推薦型選抜(推薦入試)などに特に多いです。
利用2 得点換算
英検の取得級やスコアを、英語の試験の得点に換算している大学や試験方式があります。
たとえば、東洋大学の多くの学部では、英検のCSEスコアが1980以上ですと、英語の試験で8割得点したものと換算されます。
CSEスコア1980は英検2級の合格基準スコアなので、東洋大学の個別試験の英語で8割得点するよりもずっとハードルが低いです。
また、立教大学の一般入試では、英語の点数は英検などの外部試験のスコアや共通テスト(旧センター試験)の得点を換算する方式になっていて、英語の個別試験はありません。
利用3 加点
英検の取得級やスコアによって、入試の総合得点に加点している大学や試験方式があります。
1点や2点で合否を分ける大学入試において、英検で10点や20点加算されるのは非常に有利です。
利用4 受験免除
英検の取得級やスコアによって、英語の個別試験を免除している大学や試験方式があります。
大学入試の英語の個別試験が免除されれば、大学入試のレベルの高い英語の個別試験の対策をする必要がなくなります。
英語の対策の時間を節約できる分、他教科の対策に時間を割くことができます。
英検は何級から使える?
大学入試では、英検2級以上、CSEスコア1980以上が基本です。
準2級でも利用できる場合がありますが、基本的には2級以上が必須です。
準1級やCSEスコア2200程度以上ですと、かなり有利になります。
英検を本格的に利用したいのであれば、準1級合格を目指すと良いです。
英検があまり有利ではない理由
大学受験では、英検は高校受験のときほど有利にはなりません。
大学受験で英検があまり有利ではない理由は、主に次の4つです。
あまり有利ではない理由
一つひとつ解説します。
理由1 だいたいみんな持ってる
大学受験では、英検ではライバルたちと差別化することができません。
大学受験ではライバルもだいたいみんな英検を持っているからです。
たとえば、早稲田大学文学部の英語4技能テスト利用方式では、英検のCSEスコア2200以上でなければ出願できません。
英検2級の合格基準スコアが1980であることを考えれば、2200はかなり高いスコアです。
高いスコアが求められるのであれば、出願できる受験者も限られてきます。
ところが、早稲田大学に挑戦するような高校生であれば、だいたいみんなCSEスコア2200以上を叩き出します。
そのため、英検の取得級やスコアで他のライバルたちを出し抜くのは難しいです。
理由2 結局倍率が高い
大学入試の英検利用方式は、結局倍率が高くなることが多いです。
一般的な学部別試験と倍率が変わらないことが多いですし、場合によっては英検利用方式のほうが倍率が高くなってしまうことも多いです。
英検利用方式の倍率が高くなってしまう理由は主に2つあります。
倍率が高くなる理由
- 英検ではライバルたちと差別化できない
- 募集人数が少ない
先程の解説の通り、ライバルたちもだいたいみんな英検を持っています。
みんな英検を持っているので、みんな英検利用入試に出願できてしまいます。
また、英検利用入試に志望者が少ない大学・学部の場合、そもそも募集人数が少ないことが多いです。
結果として、英検利用方式の倍率が高くなってしまいます。
理由3 理系は英検利用が少ない
英検利用入試は、文系の学部に充実していて、理系の学部のほうが少ないです。
特に、難関大学の理系学部では英検を利用できない傾向が強いです。
理由4 結局英語対策は必要
英検を利用すれば、英語の個別試験が免除されることもあるのですが、結局は一般的な大学受験の英語対策は必要になります。
たとえ第一志望校の英語の試験が免除になったとしても、他の大学を受験する際に英語の試験を受けることになるからです。
英語の個別試験が免除になる大学だけを受験するという作戦を取ることもできますが、あまり現実的ではありません。
選択肢が大きく絞られてしまい、逆に不利な作戦を取らざるを得なくなってしまう可能性が高いです。
英検を利用しても、英語の大学受験対策は必ず必要になります。
英検を取っておくべき理由
ここまで解説してきたように、大学受験では英検は高校受験のときほど有利にはなりません。
それでも、英検を取っておくことを強くおすすめします。
理由は主に4つあります。
英検を取るべき理由
一つひとつ解説します。
理由1 英語の勉強として優秀
英検は資格としても優秀なのですが、中学生や高校生にとっては英語学習としても非常に優秀です。
英検の勉強が、学校の定期テスト対策や大学受験対策になるからです。
逆に、学校の英語の勉強や大学受験対策が、英検対策になります。
英検合格を中間目標とすることで、英語学習のマイルストーンとして活用することもできます。
4技能のバランスが良い
英検では英語4技能をすべて試験するため、英検対策を通して英語4技能をバランス良く勉強することができます。
英語4技能とは、「聞く」「話す」「読む」「書く」の4つの力のことです。
受験する大学によっては、リスニングや英作文が重要になってくることがあります。
普段の学校の英語の勉強だけでは、リスニングや英作文の対策がおろそかになってしまいがちなので、英検対策でしっかりと練習をしておくと受験でも有利になります。
余計な対策に時間を取られない
英検の勉強に時間が取られてしまうのではないかと心配する高校生も多いのですが、その心配はありません。
英検の勉強は学校の勉強や受験勉強とリンクしているため、「英検のためだけ」の勉強にほとんど時間を取られません。
逆に、英検のために勉強したことは、学校の定期テストや大学受験でも使えます。
英検は中学生や高校生の強い味方です。
理由2 合格率が上がる
英検を取っておくことで、単純に大学入試の合格率を上げることができます。
英検利用入試を利用することで出願数を増やすことができ、単純に合否判定をしてもらえる数を増やすことができるからです。
たとえば、同じ大学の同じ学部で、一般的な個別学部試験と英検利用方式の2つに出願することができます。
そうすれば、同じ大学の同じ学部で、2回合否判定をしてもらうことができます。
個別学部試験で不合格であっても、英検利用方式で合格になる場合があります。
逆に、英検利用方式が不合格になってしまっても、個別学部試験で合格になることもあります。
1回の試験で判定して貰える場合もある
個別学部試験と英検利用試験を1回の試験で済ませることができる大学も多いです。
個別学部試験と英検利用試験で2回試験を受けに行く必要がないので、受験スケジュールに余裕ができますし、体力的にもラクです。
検定料は余分にかかってしまいますが、メリットは非常に大きいです。
大学によっては、複数の方式で出願するとセット割引を適用してくれる場合もあるので、積極的に活用すると良いです。
理由3 取っておかないと不利になる
英検は、取っておかなければ受験で不利になってしまう可能性もあります。
英検は、だいたいみんな持っているからです。
たとえば、もし英検を持っていない場合、英検で加点される大学を受験するときに、他のライバルたちがみんな加点されているなか、自分だけ加点なしで勝負しなければなりません。
その分、個別試験でたくさん点数を取らなければなりません。
また、英検が出願資格となっている大学や試験方式では、出願することすらできません。
理由4 併願校受験に余裕を持てる
たとえ英検が第一志望校の試験であまり有利に活用できなかったとしても、併願校の試験では有利に活用できるかもしれません。
大学受験では5校以上出願する場合は多いですし、10校以上出願することもあるので、英検を有利に活用できる学校を選んで出願することもできるからです。
入試シーズンの早い時期に併願校の合格が取れていると、受験を有利に戦うことができます。
早期に併願校の合格がでると自信もつきますし、スケジュール的にも余裕ができて、第一志望校対策に集中することができます。
>>大学受験で失敗しないためには併願校戦略が超大事!【元塾教室長が解説!】
英検でなくても良いが英検がおすすめ
英語の外部試験は英検以外にもありますが、まずは英検が一番おすすめです。
英検ならばほとんどどこの大学の入試でも使えるからです。
また、英検は年間の試験回数が多く、チャンスが多いのもおすすめポイントです。
ただ、英検以外の英語外部試験を重視する大学もあります。
たとえば、上智大学では TEAPのスコアが採用されています。
受験する可能性のある大学については、事前によく調べておく必要があります。
英検以外の英語外部試験
- TOEIC
- TOEFL
- GTEC
- TEAP
- IELTS
英検の勉強法
普段の学校の勉強を頑張ることが一番の英検対策です。
英検は、学校の勉強や受験勉強とリンクしているからです。
普段の勉強以外には、次の6つを意識して対策すると良いです。
学校の勉強以外の英検対策
- 単語暗記
- 長文読解対策
- ライティング対策
- リスニング対策
- 過去問演習
- 二次試験対策(スピーキング)
詳しくは、『英検に合格するための勉強法!対策のポイントとすべきこと』という記事で解説しています。
ぜひ、そちらも参考にしてください。
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準1級以上を目指すなら英会話スクールもおすすめ
英検で準1級以上、または、英語の偏差値で60以上を目指すのであれば、英会話スクールがおすすめです。
レベルの高い英語の試験では、より高度な英語の運用能力が求められるからです。
読解が中心の一般的な英語の勉強をするだけでは、対策が不十分です。
例として、英検準1級の英作文の問題と、二次試験のスピーキングの問題を見てみましょう。
トピック「賛成ですか、反対ですか。政府は再使用可能な製品を奨励するために、もっと多くのことをするべきである。」
4コママンガを英語でナレーションします。
どちらの問題も、頭の中のイメージを英語で表現する、高度な英語運用能力が必要になります。
普段から英語を話すトレーニングをしておく必要があります。
英会話スクールはオンラインがおすすめ
英会話スクールに通うのであれば、オンラインのスクールが断然おすすめです。
オンラインの英会話スクールであれば、費用を安く抑えることができます。
スケジュールに融通が利くことが多いので、部活などで忙しい高校生にも利用しやすいです。
詳しくは、『高校生の英語の偏差値60突破に英会話のすゝめ【元塾教室長が解説!】』という記事で解説しています。
ぜひ、そちらも参考にしてください。
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まとめ
それでは、大学受験における英検についての解説をまとめます。
結論
大学受験では、英検は高校受験のときほど超有利ではありません。
それでも、英検は大学受験でも有利になることは多いのできっちり取っておくべきです。
大学入試では、英検は主に4つの方法で利用されています。
英検利用
- 出願資格
- 得点換算
- 加点
- 受験免除
大学受験で英検があまり有利でない理由は、主に次の4つです。
あまり有利でない理由
- だいたいみんな持ってる
- 結局倍率が高い
- 理系は英検利用が少ない
- 結局英語対策は必要
大学受験では、英検は高校受験のときほど有利にはなりません。
それでも、英検を取っておくことを強くおすすめします。
理由は主に4つです。
英検を取るべき理由
- 英語の勉強として優秀
- 合格率が上がる
- 取っておかないと不利になる
- 併願校受験に余裕を持てる
英語の外部試験は英検でなくても良いのですが、まずは英検を受けることをおすすめします。
最低でも英検2級、CSEスコア1980以上を目指します。
準1級やCSEスコア2200程度以上ですと、かなり有利になります。
英検準1級以上を目指すのであれば、英会話スクールに通うのもおすすめです。
今回の記事が、お子様が英検を利用して大学受験を有利に戦えるようになるきっかけとなればとてもうれしいです。
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