こんにちは。エデュサポ(@edsuppor)です。
うちの子は数学の基本問題は解けるのに、応用問題になると全然解けません。
うちの子は数学のテストでどうしても80点を超えられません。
中学生や高校生の数学になると、基礎力だけでは解けない問題も出てきます。
さて、先日、次のようなツイートをしました。
数学の応用問題の対策は、基礎基本の徹底こそが一番の近道です。ですが、それだけではある時期に限界をむかえ、伸び悩みます。
そこからさらに応用問題を解けるようにするためには、勉強に対する考え方や、勉強への取り組み方を変えていく必要があります。#数学 #応用問題
— エデュサポ@元塾教室長 (@edsuppor) January 28, 2022
今回は、数学の応用問題に苦手を感じてしまっている中学生・高校生のお子様を持つ保護者に向けて、数学の応用問題の苦手を克服するための3つのステップを解説します。
具体的なステップは次のようになっています。
3つのステップ
- 応用問題こそ基礎に立ち返らせる
- 「解き方」という呪縛を断ち切らせる
- 「どうやって」から「なぜ」へ
私は以前、塾講師の仕事をしていました。
塾と個別塾で講師と教室長を務め、オンライン教育系の塾運営の仕事をしていた時期もあります。
かれこれ20年以上、塾業界で働きました。
これまでの経験を基にお話します。
最後まで読んでいただき、お子様が学校の数学のテストで100点満点を狙えるようにするための参考としていただければとても嬉しいです。
問題文は読めているか
具体的な3ステップに入る前に、子どもが本当に問題文を読めているかどうかを確認してください。
というのも、文章問題や応用問題が苦手な子どものほとんどは、実は問題文をちゃんと読めていません。
読み取れていないどころか、読んでいないことが多いです。
問題文を最初から最後までキチンと読めるようにするだけで、算数や数学の苦手を克服できてしまうこともあります。
>>算数の文章題の苦手を克服するための8つのコツ【元塾教室長が解説!】
ステップ1 応用問題こそ基礎に立ち返らせる

そのように思っている子どものほとんどは、実は基本問題が定着していません。
ですから、まずは基礎に立ち返らせることが大切です。

そのように思われる方も多いと思います。
しかし、数学の応用問題に関する悩みの多くは、基礎基本の徹底で解決できます。
それは、数学の応用問題が、基本問題の組み合わせであることが多いからです。
基本問題の組み合わせ
あの基本問題の解法を使ってあれを求めて、求めたものからあっちの基本問題の解法を使ってこれを求めてという形で、応用問題に見せかけて、実は基本問題を組み合わせて解いているだけという問題は多いです。
厳密には、このような問題は応用問題とは言えません。
しかし、多くの人はこのような問題のことを応用問題と呼んでいます。
ほとんどの「数学の応用問題が解けない!」という悩みは、この「基礎に立ち返る」というステップで解決されます。
ただし、ただ基本問題の解法を「知っている」だけでは不十分です。
基本問題はひたすらやり込む!
基本問題は、問題を見た瞬間に解法が思いつくというレベルになるまでやり込む必要があります。
問題文を読んで、

このような状態では、応用問題には立ち向かえません。
呼吸をするように解く
基本問題は、呼吸をするように解けるようになるまで繰り返し繰り返し演習をして、体に(頭に?)叩き込んでください。
たとえば、次の問題を考えてみてください。
6+8=
答えは「14」です。大丈夫です、ひっかけ問題ではありません。
これは繰り上がりのあるたし算の計算ですが、解法を考えずに呼吸をするように解けたはずです。
それは、今までに何度も何度も繰り上がりのあるたし算の練習を、繰り返し繰り返し行ってきたからです。
基本問題を組み合わせる
それでは、次の問題はどうでしょうか。
(6+8)×9=
答えは「126」です。大丈夫です、ひっかけ問題ではありません。
しかし、もしも繰り上がりのたし算の解き方を一生懸命思い出さなければならないとしたら、この問題も難しい応用問題に感じたはずです。





このようになってしまうかもしれません。
数学の応用問題に苦手を感じている子どもの多くは、このパターンです。
基礎基本を徹底すれば、すぐに苦手を克服できます。
ですので、数学の応用問題が苦手だと思ったら、まずは基礎に立ち返らせることが大切なのです。
ただし、これだけでは本当の応用問題に出会ったときには対処できません。
ステップ2 「解き方」という呪縛を断ち切らせる
本当の応用問題は、基本問題の組み合わせではありません。
問題文を読んで、深く思考の奥に潜っていって、答えを導き出すための糸口を探り当てるような問題のことを応用問題といいます。
中学受験であれば、偏差値60を超える難関中学の算数で出題されるようなレベルの問題です。
高校受験や大学受験でも、偏差値60を超えるような難関校の数学で出題されるようなレベルの問題です。
こういった数学の応用問題は、問題文を読んだだけで解法がわかることはありません。
一部の天才的頭脳の持ち主であれば一瞬でひらめくのかもしれませんが、一般的にはすぐに解法を思いつくことができません。
多くの子どもたちは、問題文を読んで解き方が思い当たらないと、解くことをあきらめてしまいます。
なぜでしょう。
「解き方」は呪縛である
多くの子どもたちは、算数や数学を、「解き方」を教えてもらう学問だと思いこんでいます。
たし算の解き方はこう、かけ算の解き方はこう、旅人算の解き方はこう、連立方程式の解き方はこう、接線の方程式の求め方はこう、というふうにとらえてしまっています。
算数や数学の問題を子どもたちに解かせてみると、

という言葉を聞くことは多いです。
これは、子どもたちが、

と、考えているからです。
解くことをあきらめてしまう
「数学は解き方を教えてもらう学問」と、子どもたちは考えているため、問題文を読んでも解き方が思い当たらないような問題に出会うと、

と、思ってしまうのです。
数学である程度の力がついてきたら、この「解き方」という呪縛から抜け出す必要があります。
では、解き方がわからない問題にはどのように取り組めばよいのでしょうか。
設定に入り込む
数学の応用問題で、問題文を読んでも解き方が思いつかない場合は、問題の設定に深く入り込む必要があります。
頭の中の「解き方データベース」を検索することをやめて、どっぷりと問題の世界に浸かってみる必要があります。
言葉で表現することは難しいのですが、感覚的には「思考の奥深くに潜り込む」というイメージです。
たとえば、次の問題を考えてみましょう。
問題は算数オリンピックの過去問です。
難しい公式や計算は必要ありませんので、みなさんも考えてみてください。
ももこさんが算数の試験を5回受けました。下の父親との会話を読んで問いに答えなさい。
ももこ:おとうさん、算数の点数が試験を受けるたびに高くなったよ!
父親 :すごいじゃないか!しかも上がっている点数も、回を追うごとに大きくなってる。
最後の点数は最初の点数の2倍くらいあるじゃないか!
ももこ:勉強頑張ったからね!でもさすがに2倍はいかないよ。
父親 :そうだね。おや、点数の数字はすべて異なる数だね。
ももこ:本当だ!こんな偶然もあるんだね。ももこさんの1回目の点数と5回の試験の平均点の組み合わせを1つ求めなさい。
引用元:算数オリンピック
問題文を読んでも解き方は思いつきません。もちろん、解き方を習ったことはありません。
この時点で多くの子どもたちは、

と、問題を解くことをあきらめてしまいます。
あきらめずに考える
ここであきらめずに、問題文の設定の中に入り込むことができるかどうかが、算数や数学の応用問題を得意にできるかどうかの分かれ目です。
たとえば、

と、思考の中に潜り込もうとすることができることが大切です。
ちなみに、この「15点」というのは適当です。
「0点」でも「59点」でも、何でも良かったのです。
思考の中に一歩潜り込んだことで、次のように考えが進むかもしれません。





というように、問題文の設定の中に入り込みながら、少しずつ試行錯誤を繰り返して解答への糸口を探していきます。
ちなみに、この問題の解答は算数オリンピックのWebサイトで確認することができます。
とてもおもしろい問題なので、ぜひ続きを考えてみてから解答を確認してみてください。
まずやってみる
大切なことは、「解き方がわからない!」と思った時に、そこであきらめてしまわずに、思考を一歩踏み出してみることです。
その踏み出した一歩が間違っていて、最後は答えにたどり着けないかもしれません。
それでも全然構いません。一歩踏み出したことが大切です。
その一歩を踏み出して、思考の海の中に潜ることができるかどうかが、応用問題を解けるようになるかどうかの大きな分かれ道です。
まずやってみってみること。その一歩が非常に重要です。
間違っていても大丈夫
間違っていても大丈夫です。
むしろ、応用問題は解答にたどり着くまでに何度も間違えながら軌道修正していって、やっと解答にたどり着くことがほとんどです。
ですので、子どもにはまず間違えることが悪いことではないことを知ってもらってください。
間違っても良いので、挑戦するために一歩踏み出すことが大切だと教えてあげてください。
間違いやミスを叱ってしまうと、子どもたちは挑戦することをやめてしまいます。
ですので、子どもが間違えてしまっても、「もう1回挑戦してみよう!」と、励ましてあげてください。
この一歩を踏み出すことができれば、数学の応用問題を得意にするまでもう少しのところまできています。
ステップ3 「どうやって」から「なぜ」へ
数学の問題の解説には、どうやって解くのかが解説されています。
その解説を読んだ時に、「どうやって」解くのかだけを考えるのではなく、「なぜ」そのように解くのかを常に考えるクセをつける必要があります。
または、解答者が「なぜ」そのような解法で解けば良いと発想できたのかを常に考えるクセをつける必要があります。
たとえば、先程の算数オリンピックの問題の解説を読んでみましょう。(解説はこちら)
解説の最初の方に、次のように書いてあります。
条件②(上がっている点数は回を追うごとに大きくなる.)より1回目と5回目の点数の差は最低でも 1+2+3+4=10点 なので1回目の点数が1けたの場合は,条件③(5回目の点数は1回目の点数の2倍未満.)を満たしません.よって1回目の点数は2けたです.
引用元:算数オリンピック
この解説を読んで、多くの子どもたちは、

と、思って、そこで終わりにしてしまいます。
数学の応用問題を解けるようにするためには、この解説を読んで、次のようなことまで考える必要があります。


「どうやって」では不十分
解説を読んで「どうやって」解いたのかを理解しただけでは不十分です。
「なぜ」そう考えたのか、「なぜ」それを発想したのかまでを考える必要があります。
そして、今後同じような応用問題に自分が出会った時に、自分一人の力で同じように発想するためにはどこに注目すればよいだろうかを考えます。
ここまでできるようになれば、あとは演習問題をたくさん解くだけです。
一問解くごとに発想するためのノウハウが自分の中に溜まっていき、どんな難問に出会っても臆することはなくなるでしょう。
このようにして数学の応用問題を解けるようにしていくことのメリットは、数学の点数が上がるということだけに留まりません。
>>数学の本質的理解を目指す数学専門オンライン個別指導塾・数強塾のおすすめの活用法。料金・評判は?
課題解決能力を身につけることができる
数学の応用問題を解くプロセスは、社会の中にある多くの課題を発見し、その解決策を考えるプロセスに似ています。
いわゆる、「問題解決能力」というやつです。
今後の社会では、この問題解決能力が重視されます。
そのため、数学の応用問題を解く能力は、今後一生活用できるスキルになります。
積み重ねが大事
ここまでの解説を読んで、

と、思われたかもしれません。
実際には、学校に通っている10年以上の間に積み上げていくので、しっかりと意識して取り組めていればそれほど大変なことではありません。
とはいえ、簡単なことでもありません。
簡単なことではないからこそ、大人になって社会に出てから学びはじめるのではなく、子どものうちから身につけておくべき力でもあります。
それでは、思考力や発想力はどのように育てていけばよいのでしょうか。
思考力や発想力の育て方
思考力や発想力、想像力を育てるような教材は、非常に良いコンテンツが数多く販売されています。しかし、その多くは小学生以下の年齢を対象としています。
たとえば、「ワンダーボックス」という通信教育教材は、子どもが遊びながら自然と「思考の海の中に一歩踏み出す」体験ができるように工夫されています。
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ただ、中学生や高校生向けの教材はほとんど販売されていません。
中学生でも楽しみながら学習できるような教材もあるので、場合によっては小学生向けの教材を試してみるというのもアリでしょう。
しかし、今回解説した「数学の応用問題の苦手を克服するための3つのステップ」を意識していただければ、教材なしでも対応できます。
普段の授業で対応する
思考力や発想力を伸ばすためには、まずは「勉強とは教わるものである」というスタンスを、子どもに捨てさせる必要があります。
実は、力のある塾講師は、生徒が質問を持ってきてもすぐには解説しません。
つまり、解法を教えるようなことはしません。
生徒にいくつも問いかけを行って、生徒が自分で答えにたどり着けるように導いていきます。
それは、生徒が解法だけを学んでも本質的な力をつけることができないと、講師が知っているからです。
教育現場全体が思考力を重視している
実は、最近は塾でも学校でも、ただ解法を教えるような授業は行っていません。
先程の問いかけを行う例のように、ほとんどの先生が、子どもたちの思考力や創造性を身につけられるように授業を工夫しています。
ただ知識を伝授するだけの、化石のような授業を行っている先生はわずかです。
ですので、子ども自身が、「勉強とは教わるものである」というマインドを捨て去ることができれば、学校や塾の普段の授業でも応用力を伸ばすことができます。
まずは基礎の積み上げが大切
ただ、算数や数学は積み上げていく学問なので、学習到達度によっては学校や塾での学習では対応できないこともあります。
その場合は、学年の垣根を超えて学習できるようなタブレット学習教材も検討してみてください。
最近のタブレット学習教材は、学年の垣根を超えてさかのぼり学習ができるものが多いです。
また、AIが子どもの学習到達度を測りながら、最適な問題を選んでくれます。
基礎のおさらいでは、学校や塾よりもずっと効果があるので、活用できると良いでしょう。
>>タブレット教材の8つのメリット・デメリットを元塾教室長が解説!
まとめ
それでは、数学の応用問題の苦手を克服するための3つのステップをまとめます。
3つのステップ
- 応用問題こそ基礎に立ち返らせる
- 「解き方」という呪縛を断ち切らせる
- 「どうやって」から「なぜ」へ
数学の応用問題を解けるようにすることは、一生活用できるスキルを身につけることにつながります。
まずは基礎に立ち返らせることが大事ですが、「勉強とは教わるものである」というマインドを捨てることも大切です。
そして、「解き方」という呪縛を断ち切らせ、「なぜ」を追求できるように意識させる必要があります。
そこに、数学の本当の楽しさがあったりします。
この記事を参考にしていただき、お子様が数学の応用問題を得意にするきっかけとしていただけたらうれしいです。
そして、一人でも多くの子どもに数学の本当の楽しさを知ってもらうことができたのなら、私はとてもうれしいです。