こんにちは。エデュサポ(@edsuppor)です。
うちの子は受験勉強中によく眠ってしまっています。どうすれば良いでしょうか
うちの子は夜ちゃんと寝ているのに、何度起こしても寝てしまいます。どうすれば良いでしょうか
子どもが受験勉強中にすぐに寝てしまうと、悩まれている保護者の方もいらっしゃると思います。
私も塾で働いている時は、すぐに寝てしまう生徒に何度も出会いました。
生徒たちは眠くなってしまう理由をいろいろと言いますが、実のところ原因はたった1つです。
結論
原因は睡眠不足。
しかし、睡眠不足への対処は思ったよりも難しい。
今回は、受験勉強と睡眠について解説します。
記事の後半では、根本的な対処法についても解説します。
私は以前、塾講師の仕事をしていました。
集団塾と個別指導塾で講師と教室長を務め、オンライン教育系の塾運営の仕事をしていた時期もあります。
かれこれ20年以上、塾業界で働きました。
これまでの経験を基にお話します。
最後まで読んでいただき、お子様がおめめパッチリで勉強に取り組めるようにするための参考としていただければとてもうれしいです。
睡眠不足になる理由
勉強中に眠ってしまう原因は、ほぼ間違いなく睡眠不足です。

このように思われた方もいらっしゃると思います。
私も勉強中に寝てしまう多くの生徒とたくさん話しをしてきましたが、結局ほぼ全員が睡眠不足でした。
そして、子ども自身も自分が睡眠不足であることを自覚していないことも多かったです。
では、なぜ子どもたちは睡眠不足になってしまうのでしょうか。主な理由は3種類あります。
睡眠不足になる理由
- 睡眠不足を自覚していない
- 夜更かし
- 長時間の昼寝
一つひとつ解説します。
理由1 睡眠不足を自覚していない

勉強中に寝てしまう生徒と話をすると、ほぼ全員からこのような返答が返ってきます。
ですが、本人がそのように思っていても、実は睡眠時間が足りていないということがあります。
子どもはある程度眠たくても体が動いてしまうため、睡眠不足を自覚しにくいのです。
睡眠時間は思った以上に必要

高校生になると、6時間を睡眠時間の目安にする子どもが増えます。
6時間寝れば1日体が動くので、本人は問題ないと思っています。
しかし、実際には睡眠時間は足りていないため、勉強中に集中できなかったり、眠ってしまったりします。
適切な睡眠時間には個人差があり、年齢や季節によっても異なるので一概に何時間が良いとは言えません。
ただ、2014に厚生労働省健康局から出された資料には、次のようにあります。
夜間の睡眠時間は10 歳代前半までは8時間以上、25 歳で約7時間、その後20年経って45 歳には約6.5時間、さらに20年経って65歳になると約6時間というように、健康で病気のない人では20 年ごとに30 分ぐらいの割合で減少していくことが分かっています。
睡眠時間は、子ども本人が思っている以上に必要です。
大まかに8時間前後が目安となります。
理由2 夜更かし

勉強中に寝てしまう生徒と話をすると、ほぼ全員からこのような返答が返ってきます。
ですが、その中には夜更かしをしている生徒も多かったです。
実は夜中までゲームをやっていたり、You Tube等の動画投稿サイトを見ていたり、LINE等のSNSで友達と遊んでいたりです。
本当のことを言えば怒られてしまうので、「ちゃんと寝てます」と嘘をついていることは多いです。
理由3 長時間の昼寝
昼寝(仮眠)は20分~30分ほどが理想的です。
短時間の昼寝に効果があることは、研究でも実証されています。
ですが、長時間の昼寝は逆効果です。
長時間寝てしまうと、脳が覚醒するまでに時間がかかってしまいますし、夜に眠れなくなってしまいます。
夜に眠れずに翌日睡眠不足になってしまい、夕方眠くなってまた長時間の昼間をしてしまいます。
この悪循環が睡眠不足の原因になってしまっている子どもも多いです。
医療機関に相談することも検討すべき
寝不足になる原因がどうしてもわからないという場合は、睡眠障害も疑ってみるべきです。
不眠症や過眠症で悩まれている方は思ったより多く、自身の努力ではどうにもできないこともあります。
うつ病などが原因で睡眠不足になることもあるようです。
そういった場合は、自分たちだけで悩むのではなく、なるべく早く専門家に相談すべきです。

そのように思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、睡眠とは一生付き合っていくことになります。
早期に相談するに越したことはありません。
根本的な対処法
ここからは、受験勉強中に眠くなってしまう子どもへの根本的な対処法を解説します。
私は医者ではないので、睡眠障害が疑われる場合については解説できません。
睡眠障害ではない場合の対処法を解説します。
具体的には次の3点について解説します。
根本的な対処法
- 禁止や取り上げは最終手段
- 勉強に前向きにさせる努力を
- 生活習慣の振り返りを
一つひとつ解説します。
対処法1 禁止や取り上げは最終手段
夜遅くまでゲームをしていたり、スマートフォンをいじっていたりする場合、ゲームやスマートフォンを取り上げてしまえば良いのではないかと思われると思います。
ですが、ほとんどの場合、単なる禁止や取り上げでは解決しません。
ゲームやスマートフォンを取り上げても、何か別のことをして夜更かしをしてしまうからです。


このようになることも稀にありますが、多くの場合はそうはなりません。
禁止や取り上げを実行する前に、やるべきことがあります。
対処法2 勉強に前向きにさせる努力を
勉強に対して前向きになると、子どもたちは自然と夜更かしをしなくなります。
以前の私の生徒にも、勉強中にすぐに寝てしまう生徒は何人もいました。
何度起こしても、またすぐに寝てしまうのです。
ところが、そういった子どもたちも、入試が迫ってくると居眠りせずに勉強に取り組めるようになります。
理由を聞いてみると、ほぼ100%、次のような返答が返ってきます。


直前に気づいても間に合わない
残酷かもしれませんが、入試直前になって焦って勉強に取り組んでも、もう間に合いません。
受験は定期テストとは違います。
ですので、私たち大人は、手遅れになる前に子どもたちに勉強に取り組ませる必要があります。
>>大学受験の勉強はいつから?高校受験の意識のままでは絶対に間に合わない!
ポジティブに導くことが理想


子どもが勉強に前向きにならない時は、どうしてもネガティブな言葉をかけてしまいがちです。
ですが、ポジティブな言葉をかけた方が子どもたちに響くことが多いです。


ちょっとした言い方次第で子どものやる気を左右することもあります。
意識して声掛けできると良いです。
前向きになるポイントはそれぞれ
受験勉強にスイッチが入るポイントは、子どもそれぞれ異なります。
早期から受験勉強をスタートさせた生徒たちに聞いてみると、次のようなことがきっかけになった生徒が多いです。
勉強に前向きになったポイント
- 将来やりたいことができた
- 勉強って意外と楽しいって思った
- 今からはじめないと間に合わないと思った
将来やりたいことや、将来なりたい自分を思い描いて本気になる子どもは多いです。
勉強の楽しさを知ってやる気を出す子どもは多いです。
正しい情報を手に入れてはじめて「やらなければ!」と思える子どもは多いです。
トライし続けることが大事

ここまでを読んで、そのように思われた方もいらっしゃると思います。
これはもうまったくその通りで、現実はなかなか理想通りにはいきません。
子どもにとって、遠い未来のことを考えることは難しいです。
エンタメがあふれる世の中で、勉強のおもしろさを知ってもらうのは難しいです。
それでも私たち大人は、根気よく子どもたちと向き合わなくてはなりません。
時間をかけて、何度もトライし続けることが大事です。
対処法3 生活習慣の振り返りを
子どもが勉強に対して前向きになって、初めて生活習慣を振り返ることが有効になってきます。
勉強に前向きになっていない状態では、どんなに生活習慣を振り返っても改善することはできません。
まずマインドセットを行って、それから具体的な改善をするから意味があるのです。
生活習慣の振り返りは、睡眠時間から考えると良いでしょう。
生活習慣の振り返り
- 適切な睡眠時間を探る
- 就寝時間と起床時間を決める
- 勉強時間を決める
- 習慣化する
- 休日の勉強時間を決める
適切な睡眠時間を探る
必要な睡眠時間の量は、人それぞれ異なります。
お子様にとっての最適な睡眠時間を探しましょう。
今まで見てきた生徒をみると、7時間30分~9時間の間に収まることが多いようです。
実際にいろいろな睡眠時間を試してみて、日中眠くならない睡眠時間を探ってみてください。
就寝時間と起床時間を決める
必要な睡眠時間の量がわかってきたら、具体的な就寝時間と起床時間を決めると良いです。
学校の登校時間が決まっているので、朝起きる時間は決まっていると思います。
夜、寝る時間を決めましょう。
勉強時間を決める
寝る時間が決まったら、続けて勉強する時間を決めていきます。
受験生であれば、空いている時間はすべて勉強に当てるとは思います。
ただ、事前に決めておいたほうが勉強に取りかかりやすいです。
決めておかないと、「ちょっとマンガ読んでからはじめよう。」とか、「ちょっと掃除してからはじめよう。」と、勉強をはじめないための言い訳を考えてしまいがちです。
具体的な時間でなくても、「夕飯を食べてからお風呂に入るまでは数学の問題集の時間。」というように決めても良いです。
習慣化する
睡眠時間と勉強時間が決まったら、次はそれを習慣化しましょう。
ここが一番難しいかもしれません。
十分にサポートしてあげてください。
先程、「禁止や取り上げは最終手段」と書きましたが、この段階であればルール作りは有効です。
- 21時以降はスマートフォンは部屋に持ち込まない
- 受験が終わるまではゲームは禁止
- 夕食後は保護者の目の届く場所で勉強する
禁止や取り上げというよりは、ルール作りということを意識すると良いです。
一方的に押し付けるのではなく、子どもと一緒にルール作りをするべきです。

このように、子どもからルールを提案してくるのが理想です。
>>スマホは勉強へのメリットが大きい!注意点や活用法を元塾教室長が解説!
休日の勉強時間を決める
平日の生活サイクルが習慣化できたら、休日の過ごし方も考えましょう。
休日は制約が少ない分、生活習慣を作るのは難しいです。
塾や予備校に通っているようであれば、自習室を120%活用してください。
家で勉強するよりもずっと集中して取り組めるはずです。
ちょっと眠くなった時の対処法
ここからはオマケです。
どんなに勉強に前向きになっていても、眠い時は眠いです。
そんな、「寝る気はないのに眠たくてしかたがない時」の対処法を5つ紹介します。
眠いときの対処法オマケ
- 少し寝る
- 体を動かす
- 誰かと話す
- 立ったまま勉強する
- 別の教科を勉強する
一つひとつ解説します。
オマケ1 少し寝る
眠い時は寝る!
これが一番です。
20分~30分の仮眠をとると、頭がスッキリして集中できます。
先程も書きましたが、長く寝てしまうと逆効果です。
アラームをセットするなどして、仮眠をしっかりとコントロールしましょう。
オマケ2 体を動かす
少し体を動かすと目が覚めます。
また、有酸素運動をしながら暗記をすると良いとも言われています。
眠い時は、歩き回りながら英単語の暗記などをすると良いでしょう。
>>効率的な暗記方法!長期記憶にするための19のコツ【元塾教室長が解説!】
オマケ3 誰かと話す
声を発すると眠気が覚めます。
リフレッシュのために少し誰かと話してみたりすると良いでしょう。
ただし、話が長くならないように、はじめから時間を決めると良いです。
話し相手が友達の場合は、相手も受験生であることを考えて、話しすぎないようにする配慮も必要です。
ボッチで話し相手がいない時は、教科書の音読などをするのも良いです。
オマケ4 立ったまま勉強する
立ったまま勉強するのもおすすめです。
座っていると眠くなってしまう場合でも、立っていると簡単には寝ることはできません。
あまりに眠すぎて立っていても寝てしまい、何度も膝がカックンカックンしてしまうようであれば、おとなしく仮眠をとるのが良いでしょう。
オマケ5 別の教科を勉強する
人間は、一つのことに続けて取り組んでいると退屈してしまう生き物のようです。
違う教科を勉強して頭を切り替えると、眠気が飛んでいくことがあります。
文系科目から理系科目、社会から数学など、頭の使い方がぜんぜん違う教科に変えるとより良いです。
まとめ
それでは、受験勉強と睡眠についてをまとめます。
睡眠不足になってしまう理由は、大きく次の3つになります。
睡眠不足になる理由
- 睡眠不足を自覚していない
- 夜更かし
- 長時間の昼寝
睡眠不足になる理由が見当たらない場合は、睡眠障害の可能性もあります。
医療機関に相談してください。
睡眠障害ではない場合、根本的な対処法は次のようになります。
根本的な対処法
- 禁止や取り上げは最終手段
- 勉強に前向きにさせる努力を
- 生活習慣の振り返りを
勉強に前向きになれたとしても、勉強中に眠くなってしまうことはあります。
そのような場合は、次のような対処法を試してみてください。
眠いときの対処法オマケ
- 少し寝る
- 体を動かす
- 誰かと話す
- 立ったまま勉強する
- 別の教科を勉強する
睡眠を考えることは、長い受験勉強を続けるうえでも大切なことです。
今回の記事が、お子様が集中して受験勉強に取り組めるようにするための参考となればとてもうれしいです。